キャリア

「在り方」を考える時のこと。

乳がんの告知から手術までの期間。検査と費用とその時々の悩みと…私の選択。

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 教員にとっての師走は2月!、だと勝手に思っている私。今年の2月も成績処理と所見の記載、6年生の卒業製作の仕上げに向けて動いていたり、で本当に忙しい日々でした。睡眠時間は毎日3〜4時間。それがようやく落ち着いた週末、今日はゆっくりお風呂に浸かろう!と思った矢先に、鏡に映った自分の胸を見て…「あれ?」。片側だけ、なんだか小さい気がして…。よ〜く見ると、小指の先で押したような小さなくぼみ(へこみ)。もう嫌な予感しかしません。ゆっくり湯船に浸かる気にもなれなくて、あわててお風呂から出てネットで症状を検索すると、どれもこれも「乳がん」。健診にはもう何年も行っていなかった自分を猛省しながら、衝撃を受けたまま、とにかく病院に行こうと週明けすぐに予約を入れたのが、3月初めのことでした。(あやうく、女性の病気→産婦人科に予約しそうになったけど、「乳腺科」なんですね。これも初めて知ったレベルで反省…)

1,3月初め:針生検

 症状に気づいて3日後、近くの乳腺科外来を受診。マンモグラフィーとエコーの検査を受けます。エコーを見ながら、片側だけ念入りに、しきりに測っているので、「あ、何かあるんだな・・・」と少々覚悟。その後の診察で先生からも、「しこりがあるので、針生検をして調べましょう」と言われて、採血くらいの注射の針先から細胞を採取しました。

【マンモグラフィー、エコー、針生検、問診 5710円】

2,3月中旬:結果

 先日の針生検の結果が2週間後に出るというので聞きにいくと、5段階あるうちの4段階目、「悪性の疑い」でした。年齢的にもその可能性は高いからと、そこから先の確定検査は治療にかかりたい病院に行くことを勧められました。提携している先の病院の紹介状をいただいて、予約を入れます。その後は病院の治療内容・体制などを調べたり、今後の治療や手術や、とにかく気になることを片っ端からネット検索していました。予約した病院での診察を3日後に控えた頃、偶然「内視鏡手術」を行っている病院を見つけました。傷が小さくてすむならその方がいい!と、しかもその病院の分院が勤務先の近くにあることを知り、当初の病院へ再度行って紹介状を書き直していただき、診察の予約も取り直します。そのため予約日がさらに2週間近く先になってしまいました。でも、自分としては治療への選択肢が多いこと、通いやすさは大事にしたかったので、納得の上での軌道修正です。

3,4月上旬:セレロ生検

 新たな病院で、再度、マンモグラフィーとエコーの検査をしました。(紹介状に診察結果データもつけてもらっていたけど、結局、再検査。最初からここに来ていればよかった!)さらに、確定診断をするためのセレロ生検を受けました。前回の針生検よりも、もう少し多くの細胞を取るので、局所麻酔をして、皮膚切開をした後に組織を採取します。傷跡は3〜4mm程度なので、止血テープとバストバンドをして、痛み止めの薬を処方されて終了。翌日からシャワーOKとなりましたが、しばらくは内出血がひどくて、痛々しい感じが続きました。

【マンモグラフィー、エコー、セレロ生検、問診 25940円】

4,4月中旬:結果

 先日のセレロ生検の結果「悪性か良性か」、の判断が1週間後には出るというので、とりあえずそれだけを聞きに。結果は「悪性」でした。ほぼほぼ、そうだろうな、という思いはあったので、驚きもせず、です。分かったのは「浸潤性乳管癌」であり、「おとなしめのガン」ということくらいでした。X線検査、血液検査、尿検査、肺活量の検査を受けて、次回のMRIとPET-CT、遺伝子検査の検査予約を入れました。

【X線検査、血液検査、尿検査、肺活量検査、問診 7930円】

5,4月下旬:遺伝子検査

 私の場合、祖母が乳がんだったため(自分の乳がんのことを母に話して、このタイミングで始めて知らされた事実!)遺伝子検査を病院から勧められました。血縁者に乳がん、卵巣がんの患者がいる場合は、保険適用でこの乳がんに関わる遺伝子検査が受けられるそうです。検査は受けても受けなくてもよくて(任意)、でももし陽性だった時には、全摘出など治療方針にもかかわる場合があり、しかも卵巣がんになる可能性が高いので卵巣摘出をすすめられる(発見されるときには既に末期であることが多いがんのため)らしく、やや複雑な立ち位置の検査です。カウンセリングを受けることが必須で、途中・直前での検査同意撤回や、やっぱり結果を聞かない、という検査後の選択もできるようになっています。陽性だった時のことを考えると温存したい私としては検査を受けたくない気持ちもありましたが、娘2人のこともあるので、最終的に受けることにしました。採血による検査結果はアメリカで調べるらしく、結果がでるまで約3週間。

【カウンセリング、遺伝子検査 58700円】

6,5月中旬:MRI、PET-CT検査

 病院もゴールデンウィーク…で、連休明けにMRIとPET-CTの検査を受けました。その日の検査後の診察で、画像を見た主治医の先生からは「全摘出」を勧められます。それまで聞いていたしこりのサイズが15mmだったので、部分摘出(温存)だと思っていただけに、その場ですぐに「はい、分かりました」とは言えなかった私。どうやら、そのしこり以外にも、もっと小さなあやしき影が、散在しているようで、全摘出という判断にいたったようです。見た目どうなる?手術の傷跡はどこにどのくらい??と、もう頭の中は謎だらけ。「ぺったんこになって、男性みたいになるだけよ」と先生は言うけれど、それがどんなものなのか?想像がつきません。先生は、温存したかった私の気持ちも尊重してくださり、細胞をとって検査しないと確定はできないから次回細胞検査をして調べてからにしましょう、と手術内容は後日決めることになりました。

【MRI検査 9610円、PET-CT検査 22940円、細胞疫学検査費用 5970円】

7,5月下旬:結果

 1週間ほどの間、いろいろ考えて全摘出にしようと思いながら病院に行ったところ、MRIとPET-CTの病理検査から、もしかしたら乳輪・乳頭は残せるかも?(悪性ではないかも?)という結果が出ているというお話が。すでに覚悟していた、全摘出・再建なし、という決心が揺らぎます。「膨らまさないの?なんとでもなるよ?」という先生の一言に、「え?」となって、また迷う、という…。気になる数箇所の細胞を検査するには、当初予定していたものとは違いメスを入れてとらないといけないらしく、外来用手術室の予約をしてこの日は終了となりました。乳輪・乳頭を残せるなら再建も考えようかな、と、再び再建について方法や予後などを調べはじめました。

8,6月中旬:手術による細胞検査

 局所麻酔をして、乳輪・乳頭付近の3箇所から細胞をとる手術。上部のライトにメスを入れた患部がうつっていて、ひたすら目をつむって過ごした数10分間。検査結果が出るのは3週間後です。ここまでくると、もう祈る気持ちとかもなく、事実を受け容れて対処しよう、くらいに肝がすわっている自分がいます。

 術後の痛みが引いた数日後、別のチクチクするような痛みが持続的になってきて、転移したんじゃないか、という心配や、仕事しながらのこの痛みはキツイ、手術までもたない…という不安もあり、病院に仮決めされていた手術日を早められないか相談しました。ここまでの間、検査による傷の痛み以外は全く自覚症状がなく、しこりも分からず、食事や運動の制限もなく、自分ががんであることが信じられないくらいだったので、ここにきて病気であることを感じて急に動揺してしまい…。いつも相談にのってくださる看護師さんからは、「乳がんは基本的に痛まないから大丈夫!」と一言。ホルモンのバランスが崩れたか、皮膚に近いところのがん細胞が神経を刺激しているか、ストレスが原因か、ということらしく、それを聞いたらぱったり痛みがなくなり…病は気から、って本当なんですね。普通に暮らせる日常が戻り、ありがたかったです。

【細胞検査手術費用 8770円、細胞疫学検査費用 5970円】

9,7月初旬:結果→手術内容と日程決定

 前回の手術でとった細胞検査の結果を聞きに。3箇所のうち2箇所は悪性だったため、やはり全摘出になりました。諦めもつきました。(いつかは再婚できたらいいな、と思っていたから、それももう無理かな…とか諸々。)再建については、シリコンだと数十年後にメンテしなくちゃいけないし、加齢とともに健側との差は出るし(シリコンによる再建が保険適用になったのも数年前なので、まだその後をブログにあげている人もいなくて、先がどうなるのかが全くワカラナイ!)、背中やお腹からの自己組織で再建するのも身体への負担が大きくて気が進まず、脂肪ならいくらでもどこにでもあるし!と思って脂肪注入を先生に相談したところ…脂肪の定着率が約50%と低く、Aカップでも最低2回の脂肪注入が必要で、保険適用外だから1回の費用が約50万円と聞き、自分のサイズ感から総費用を考えたら「!!!」。再建しないかも、という感じがしています。再建するにも摘出後に半年ほどあけてからになるらしく、一応そこまでにじっくり考えることにして。

 入院は7月中旬から2週間程に決まりました。勤め先にも診断書とともに病気休暇取得の申請を提出したところです。幸いにも、今年度から制度がかわって、私のようなパート職員でもそれまで無給だった病気休暇が有給扱いになったそうで、本当に助かりました!3月に症状に気づいてから手術までの約4ヶ月半、大きな病院を選んだので予約のスパンが長くここまで時間がかかりましたが、それでもこれが私にとっては最短・最善の選択。ちょうど学校は夏休みに入るので、受け持ちの授業に大きな穴をあけなくてすみ、そのまま1ヶ月しっかり療養できるのはとてもありがたく、偶然ではあるけれどベストなタイミングとなりました。(その分、当然収入はないですけど…)本当、学校勤務でよかったです。

 そして、今回の告知を受けてから、家族だけでなく、たくさんの友人、職場の方々、病院の方々が心配してくださり、温かい言葉をかけてくださったこと、本当に嬉しかったです。「まさか、私が」「どうして私だけが」とか、「もっとこうしていれば」「あれをしていなければ」とか、気づくと自分を責めてしまいそうになった時、「病気になったのは誰のせいでもないから」という一言に、どれだけ救われたことか…。病院選びや再建の選択にも親身になって一緒に考えてくれて、相談にのってくれて、励ましてくれて、本当にありがとう!!という気持ちでいっぱいです。

 最後に、ネットに様々な情報が溢れているけど、それらに惑わされないようにと、病院から紹介された乳がんに関するおすすめの本を紹介します。乳がんは、短い期間に次から次へと様々な判断を迫られるので、病気を知らないよりは少しでもその情報を知っていた方がいいです。私も、「乳がんに罹る約半数の方がこのタイプですね」と結果が出るたび先生に言われてきましたが、それでもやはり人それぞれなので、きちんと病院で検査を重ねて確認して、治療に関して自身の納得のいく判断・選択をしていっていただけたらな、と思います。最終的には手術後の病理検査をもってがんのタイプやステージ、治療方針が定まるので、誤った情報や思い込みで不安を増大させることなく、ひとつひとつの結果を乗り越えていくしかない、と身をもって実感しました。私と同じく乳がんの告知を受けてこのブログにたどりついた方の先の見えない不安を少しでも和らげることができれば、そして、少しでも穏やかに過ごせることを心から願っています。

 私もこれから無事に手術を乗り切って、まだまだ元気に生きていきます!治るから大丈夫!!

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※記載した検査内容、費用は、あくまで私の場合です。参考程度になさってください。

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